多くの歯の疾患は 「細菌」と「力」によって引き起こされます。
お口の不衛生(歯ブラシ不足)による細菌の影響で歯周病や虫歯が引き起こされます。また咬合力(噛みしめ、食いしばり、特定の歯にその力が集中するなど)で 歯が揺らされたり、ひび割れが生じてそこから悪くなったりもします。その力によって歯は磨耗し、かけたりし、時には歯根が破折することもあります。また入れ歯でも人工歯がすり減ったり、力によるたわみで割れますし、インプラントにも悪影響をもたらすこともあります。患者さんが日常気づかない
この「力」は多くのお口のトラブルの原因となっているのです。
長年の経験で、歯科治療というのは 本当にひとつひとつ きっちりとやらないと長持ちさせることは難しいと痛感します。正しい方法、テクニック、最適な材料を用いて丁寧に時間をかけて取り組まないと達成できないものなのです。患者さんも歯科医師もこのことを理解し、患者さんには安易に「セラミックならいい治療」、「歯が抜けたところにはインプラントがいい」といったような誤解をなさらないでいただきたいのです。
総合的な診断をし、ライフステージに応じて、10年先、20年先を見据えながら いつ どのタイミングで、どういう方法、材料を選択すべきかを考えなければなりません。そこには「技術」という世界も確実に存在します。
診断によっては矯正(全体矯正、部分矯正)から始めないと いい結果につながらないということもあります。逆に歯並びは悪いが、安定していて矯正すると歯はきれいに並んだものの かえって不安定な噛み合わせになることもあるのです。その判断をきちんと行っての治療開始が求められます。残念ながら 矯正も、審美も、インプラントも 制限の多い保険治療の対象外です。歯を失った時 先で「しまった」と後悔することのないように 先で「よかった」と喜んでいただけるように、歯科治療の特性に対する理解を深めていただけたら 将来の健康に繋げるより良い選択をしていただけるのではないかと考えます。